ハイグレードOPPフィルム(HGPP)
ハイグレードOPPフィルム(HGPP)は、優れた透明性と機械強度に加え、加工適性や機能性を高次元で両立した高品質フィルムです。独自の製膜・表面処理技術により、印刷適性やラミネート性能を向上。包装用途から工業用途まで幅広く対応し、製品価値の向上と安定した品質供給に貢献します。
| 開発製品 | |
|---|---|
| 開発拠点 | |
| 使用技術 | OPP製膜技術(二軸延伸)/高機能表面処理技術/品質制御技術 |
| 主な用途 |
開発の背景と課題
滋賀工場イズムの継承
片面に凹凸がある、マット仕上げのコンデンサーフィルム、誕生。

琵琶湖の南東部、滋賀県湖南市に、王子エフテックスの滋賀工場はあります。王子グループの大部分の工場は紙製品の生産を中心に行っているのに対し、ここはプラスチックフィルム製品の開発と製造を専門的に行っている、グループの中でも特異な存在です。
同工場では、『滋賀工場でしかできないもの』を求めて、新しいフィルムの開発に意欲的に取り組んでいます。その一つに片面マット調のコンデンサーフィルムが挙げられます。
製品を巻き取る際、表面に凹凸がまったくない平滑なものは、フィルム同士がくっついてしまい、剥がすことができません。凹凸のあるマット調になっていると、フィルムがロールを通るときに間を空気が抜け、巻き取ることが容易にできます。
そのため、片面フラット仕上げ、片面マット調のフィルムの開発に着手しました。しかし、凹凸を作るために添加物を入れると絶縁性能を阻害してしまうという課題がありました。そのため、まず材料の設計から開発を始める必要がありました。
技術的アプローチ・解決策
材料設計からのアプローチ

開発では、ポリプロピレンの分子量と立体規則性の検討から始めました。
分子量とは分子の鎖の長さのことで、その分布が広いほど薄く延ばしやすく、狭いほど耐電圧性が高くなります。また、立体規則性とは分子の並び方のことで、きれいに並び結晶性が高いほど耐電圧性が高くなります。
こうした特長を生かしながら条件を的確に設定することで、添加剤を使用せずに片面に凹凸を持つフィルムの実現を目指しました。
当時、滋賀工場では量産機が1ラインしかなかったため、試作はいつも夜通しの作業となりました。しかし、『滋賀工場にしかできないもの』の精神のもと、何度となく試作を繰り返し、片面マット仕上げのコンデンサーフィルムは完成しました。
このフィルムの開発に携わり、現在は営業副本部長の大塚は次のように語っています。
「開発の仕事、人と交渉する仕事、どちらも遣り甲斐がありますが、結局どちらも目的や状況に合わせて工夫が必要ということでは変わりはありません。」
『どこにもないものだったら、自分たちが作ろう。自分たちが工夫しよう』という滋賀工場イズムは、こうして受け継がれています。
製品の特長
高純度ポリプロピレンによる高性能フィルム
開発されたフィルムは、片面フラット、片面マット調という構造を持つコンデンサーフィルムです。マット面の凹凸によってフィルムがロールを通る際に空気が抜けやすくなり、巻き取りが容易になります。
また、原料には純度の高いポリプロピレンを使用しており、製造工程でも添加剤などが入らないピュアなフィルムとなっています。そのため、電子・電気部材用の離型用フィルムや、光学分野での製造工程用カバーフィルムといった特殊工業用として利用されています。
さらに、これまで培ってきた技術をベースに、フィッシュアイが極めて少ない平滑タイプや、数μmの極薄タイプなど、さまざまな高性能な特殊工業用OPPフィルムが開発されています。
開発プロセス
光学分野への参入
培ってきた技術をベースに、さらに高性能なフィルムの開発へ。

液晶画面のカバーフィルムでは、フィルム製膜時に発生する数μm単位の異物(フィッシュアイ)やキズが問題となります。フィッシュアイとは、異物が核となりその周りに隙間ができ、「魚の目」のように見えることが由来です。
この問題に対応するため、製造設備を徹底的にチェックし、特に異物が発生しやすい箇所を見つけ出して改造を行うとともに、効果的な清掃を実施しました。
また、製造されたフィルムについては、機器による検査と専門検査員による品質検査を組み合わせることで、キズやフィッシュアイを極限まで除去しています。
こうして厳しい合格基準をクリアした、OPPの中でもフィッシュアイが極めて少ない平滑タイプのフィルムは、多くの実績を挙げています。
用途展開・発展
お客様と二人三脚
除塵という課題をクリアしてプロテクトフィルムへ転用
片面マット調のコンデンサーフィルムとして開発したフィルムを、プロテクトフィルムとして用途展開したのは、それから数年後のことでした。
コンピューターのパーツには、小さな基板を幾層にも積み重ねたものがあります。それを絶縁するための樹脂として利用できないかという提案をお客様に行ったことがきっかけとなりました。
片面マット仕上げのフィルムは、加工がしやすいことや、貼り付けたときの食いつきの良さが評価され、王子エフテックスが開発したポリプロピレンフィルムは、コンピューター業界での利用へ大きく一歩を踏み出しました。
成果・実績

プロテクトフィルムとして利用するためには、フィルムを徹底的に除塵する必要がありました。ここでも『滋賀工場にしかできないもの』の精神のもとで対応が進められましたが、実際にお客様との取引が始まるまでには約1年の期間を要しました。
しかし、こうして始まった取引は20年以上続いており、お客様とは厚い信頼関係で結ばれています。
現在では、これまで培ってきた技術をベースに、電子・電気部材や光学分野などのさまざまな用途でOPPフィルムが利用されています。産業技術の進展とともにOPPフィルムにもさらに高度な性能が求められる中、王子エフテックスは電子・電気工学や光学分野の発展と歩調を合わせながら、今日も高性能なフィルムの研究開発に取り組んでいます。