ナノバックリング®
ナノバックリングは、材料表面にナノレベルの微細な凹凸構造を形成することで、新たな機能を付与する独自技術です。光学特性の制御や接着性向上、表面積増加による機能性向上など、多様な用途展開が可能。従来素材では実現できなかった性能を引き出し、先端分野における新しい価値創出に貢献します。
| 開発製品 | |
|---|---|
| 開発拠点 | |
| 使用技術 | ナノバックリング形成技術/表面微細構造制御技術/材料界面設計技術 |
| 主な用途 |
開発の背景と課題
光学分野への本格参入

表面の微細凹凸構造で、光をコントロールする
ナノバックリング®とは、自己組織化を利用してナノからマイクロサイズの微細凹凸構造を形成する、当社独自の技術です。透明なフィルム表面にナノバックリング構造を転写賦形することで、ユニークな異方性拡散シート(ナノバックリングシート)を作り出すことができます。
表面の微細凹凸構造の高さやピッチをコントロールすることで光を制御できることに着目し、この技術を用いた光学分野への本格的な取り組みが始まりました。
しかし、ナノバックリング構造をシートにきれいに賦形させることは容易ではなく、思うような異方性拡散が再現できない状況が続きました。量産化を見据えたとき、安定した賦形条件の確立が最大の課題でした。
技術的アプローチ・解決策
安定した賦形条件の確立


繰り返しの試行錯誤を重ねた結果、ついに安定して微細凹凸構造を賦形させる条件を見つけ出すことに成功しました。
ナノバックリング構造に絞った光を投影すると、光は異方性拡散します。この異方性拡散は、拡散粒子を用いた一般的な等方性拡散とは根本的に異なります。微細凹凸構造の高さやピッチを変更することで光の拡散角度をコントロールでき、ライン状や楕円状に光の形を精密に制御することが可能です。
また、異方性拡散機能により必要な部位に照明を絞ったり、光立ち上げ効果によってバックライトの正面輝度を向上させたりすることもできます。さらに、シートとしての提供だけでなく、成形品としての提供も可能です。
製品の特長
光の形を自在にコントロールする異方性拡散
ナノバックリングシートの最大の特長は、「異方性拡散」にあります。一般的な等方性拡散では光があらゆる方向に広がるのに対し、ナノバックリングシートでは微細凹凸構造の高さやピッチを調整することで、光の拡散方向・角度を意図的にコントロールできます。
これにより、ライン状や楕円状など、用途に合わせた光の形の制御が可能です。必要な部位だけに光を集中させることで、照明効率の向上にも大きく貢献します。
一般にフィルム表面に微細凹凸構造を賦形したナノバックリングシートとして販売していますが、成形品でのご提供にも対応しており、さまざまな製品形態での採用が可能です。

開発プロセス
量産化への道のり
安定した賦形条件を発見し、量産体制を確立
開発プロセス光学分野への参入当初、ナノバックリング構造をシートにきれいに賦形させることは非常に難しく、狙い通りの異方性拡散特性を安定して再現できない状況が続きました。
そのような中でも開発チームは諦めずに検討を重ね、ついに安定して微細凹凸構造を賦形させる条件の発見に成功しました。この技術的ブレークスルーにより、ナノバックリングシートの量産が可能となり、市場への本格展開が実現しました。
量産体制の確立以降、お客様との距離は急速に縮まり、さまざまな分野での採用が進んでいきました。を記載してください。
用途展開・発展
光が必要なあらゆる場所へ
スキャナー光源・トンネル照明・バックライトへの展開
ナノバックリングシートの異方性拡散特性は、幅広い光学用途への展開を可能にしました。
最初の採用事例は複写機の光源部でした。ナノバックリングシートをスキャナー部に貼り付け、LEDの点光源を異方性拡散によって線光源に変換することで、ムラのない効率的な光の提供を実現しました。
次いで、株式会社ネクスコ・エンジニアリング東北様・北明電気工業株式会社様との共同開発による「トンネル照明LED化ユニット」にも採用されました。ナノバックリングによって異方性拡散された光は、従来届かなかった箇所への照射を可能にする一方、不要だった対向車線への照射をカットし、効率的な配光を実現しています。
また、LED・OLED・太陽光利用技術の発展に伴い、ナノバックリングの光拡散技術は新たな省エネ技術や新規表示デバイスへの利用にも広がっており、今後もさらなる展開が期待されています。

成果・実績
量産化の実現により、ナノバックリングシートはさまざまな分野で実績を積み上げてきました。
複写機スキャナー向けでは、LEDの点光源を線光源に変換することで、ムラなく無駄のない均一な光を提供することに成功しました。トンネル照明への採用では、必要な箇所への照射を確保しつつ対向車線への無駄な照射をカットし、照明効率の大幅な改善に貢献しています。
さらに、液晶ディスプレイ用バックライトへの適用においては、汎用拡散シートと比較して輝度が**1.5倍**に向上することが確認されており、省エネ・高輝度化を求めるディスプレイ分野での採用が進んでいます。
今後も、LED・OLED・太陽光利用技術の発展とともに、ナノバックリングの光拡散技術の応用分野はさらに広がっていくものと考えています。王子エフテックスは、光学分野の発展と歩調を合わせながら、この独自技術の研究開発に引き続き取り組んでまいります。
