高機能ガラスペーパー
高機能ガラスペーパーは、ガラス繊維をベースに独自の抄紙・加工技術を組み合わせることで、高い耐熱性と寸法安定性を実現した素材です。さらに、表面平滑性にも優れ、コーティングやラミネート適性を向上。電子材料や工業用途など、厳しい品質要求に応える基材として幅広く活用されています。用途に応じた物性設計にも柔軟に対応可能です。
| 開発製品 | |
|---|---|
| 開発拠点 | |
| 使用技術 | ガラス繊維抄紙技術/高平滑化処理技術/樹脂含浸・コーティング技術 |
| 主な用途 |
開発の背景と課題
ガラス繊維を水中で分散しシート化する、独自技術の確立へ
高機能ガラスペーパーとは、ガラス繊維を水中で均一に分散させてシート化したもので、当社独自の技術によってさまざまな優れた特性を発揮する素材です。
ガラス繊維はもともと耐熱性・絶縁性・強度など優れた特性を持ちながらも、繊維を均一に分散させてシート状に成形することは技術的に困難でした。また、用途ごとに求められる性能が異なるため、耐熱性・薄型化・低誘電性といった多様なニーズに対応できる製品開発が求められていました。
そのような課題に応えるべく、当社では抄紙技術を核に、耐熱ガラスペーパー・極薄ガラスペーパー・低誘電ガラス複合素材という3つの高機能製品の開発に取り組んできました。
技術的アプローチ・解決策
耐熱ガラスペーパー
従来品では必要とされていた不燃化のための焼成処理を不要にする素材設計を実現しました。
高温環境下でも強度を維持し、火を近づけてもほとんど発煙しないという特性を、素材そのものの配合・製法の改良によって達成しています

極薄ガラスペーパー
目付量10g/㎡という極めて薄いシートへの成形を可能にしました。
FRP成形時に素早く樹脂が浸透するよう繊維の分散状態を最適化しており、金型のクリアランス変更を必要とせず、型へのなじみも良好です。

低誘電ガラス複合素材
特殊なガラス繊維と特殊な熱可塑性樹脂繊維を混合して抄紙したプリプレグを開発しました。
このプリプレグを熱プレスすることで、10GHz帯における低誘電率・低誘電正接を実現した複合素材が得られます。
製品の特長
耐熱ガラスペーパー
耐熱性・断熱性に優れたガラスペーパーは高温環境下でも強度を維持し、火を近づけてもほとんど発煙しません。
また、ガラスペーパー単体での不燃化(焼成)処理が不要であり、従来のガラスペーパーと同様に寸法安定性にも優れています。

極薄ガラスペーパー
FRPの表面性改善に効果的なサーフェイスマットとして使用できます。
素早く樹脂が浸透しハンドリング性に優れており、目付量10g/㎡の極薄タイプであれば金型のクリアランス変更が不要で、型へのなじみも良好です。

低誘電ガラス複合素材
高い曲げ強度・曲げ弾性率と低吸水率を備えながら、10GHz帯での低誘電率・低誘電正接を実現しています。
高寸法安定性・高耐熱性も兼ね備えており、プリント配線基板やアンテナ・センサーのほか、筐体等の3D形状への成型にも対応しています。


開発プロセス
高機能ガラスペーパーの開発において、最も根本的な課題はガラス繊維を水中に均一分散させ、安定したシートへと成形する抄紙技術の確立でした。
耐熱ガラスペーパーの開発では、焼成処理なしで耐熱性・難燃性を確保するという目標のもと、素材の選定と製造条件の最適化を繰り返し行いました。
極薄ガラスペーパーでは、10g/㎡という極薄化と、樹脂含浸性・ハンドリング性の両立という相反する要求に応えるため、繊維の分散状態と抄紙条件の精緻なコントロールが求められました。
低誘電ガラス複合素材では、異種繊維(ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維)を均一に混合・抄紙するという独自のプロセスを確立することが、製品実現の鍵となりました。
用途展開・発展
耐熱ガラスペーパーは、高温環境下での使用が求められるあらゆる産業分野において、耐熱・難燃素材としての活用が広がっています。焼成処理が不要であることから、製造工程の簡略化にも貢献します。
極薄ガラスペーパーは、ハンドレイアップおよび熱プレスで成形するFRP製品全般に採用されています。特に、防水性が求められる薬液タンク・受水槽・産業装置筐体、また表面の平滑性が重視される自動車外装・工場や立体駐車場の床・折り畳み式スロープなど、幅広い用途での採用が進んでいます。
低誘電ガラス複合素材は、プリント配線基板やアンテナ・センサーへの採用が進むほか、筐体等の3D形状への成型も可能なため、5G通信関連や電子デバイス分野における次世代素材としての期待が高まっています。
成果・実績
当社の高機能ガラスペーパーは、それぞれの製品において市場からの高い評価を得ています。
耐熱ガラスペーパーは、焼成処理不要という製造面でのメリットと、優れた耐熱・難燃性能により、産業用途での採用実績を積み重ねています。
極薄ガラスペーパーは、FRP成形品の表面品質を大幅に改善するサーフェイスマットとして、製造業の現場で広く活用されています。他社品との比較においても、樹脂含浸性や型へのなじみの良さで優位性が認められています。
低誘電ガラス複合素材は、10GHz帯での低誘電率・低誘電正接という特性が、高周波・高速通信デバイスの開発ニーズと合致しており、プリント配線基板や通信機器向け素材としての引き合いが増加しています。
王子エフテックスは、独自の抄紙技術をさらに進化させながら、産業の高度化・多様化に対応する高機能ガラスペーパーの研究開発に引き続き取り組んでまいります。